お知らせ

2024.10.04

お知らせ

オアシス広報誌「Azure 2024年10月号」発刊のお知らせ

オアシス広報誌「Azure 2024年10月号」を発刊しました

日本で初めての女性弁護士・三淵嘉子さんをモデルにしたNHKの朝ドラ「虎に翼」。ヒロイン寅子が「はて?」と首をかしげて考え込む姿が何とも可愛らしくて自然と笑みを誘われました。
今年の初め、能楽の人間国宝・大倉源次郎さん(小鼓方大倉流十六世宗家)のお話を聴く機会がありました。私も 「はて? 能楽は難しい?」と呟きながら、少し能楽に触れてみたいと思います。
能楽というと「室町時代に世阿弥によって大成された日本の伝統芸能」と、そのくらいしか知らない私は能舞台のあの静けさに包まれると心地よい眠気に襲われてしまいます。
けれど、あの日の講演会での源次郎さんの語り口はユーモアを交えて分かり易く、難しいと感じていた世界が少しずつ開かれていきました。源次郎さんが聴衆に向かって「小鼓を持って構えてみて下さい」と仰り、私たちは一斉にエアで小鼓を構えました。「小鼓は右肩にありますか?」と尋ねられ、私を含めた半数ほどの人が左肩に構えていたことが発覚し、会場は大爆笑となりました。
源次郎さんの深い知識と経験に基づくお話は、感動的で心に響くものでした。受付で買ったご著書「大倉源次郎能楽談義」の中に、「謎の翁、『翁』はなぜ微笑んでいるのか」という言葉があり「はて?」と考え込みました。読み進めると、「翁」の微笑には慈悲や寛容、超越的な視点といった神聖な感情が込められていて、その神秘的な微笑は格の高さを象徴しているとか。また『翁』は「ここに集う人々は仲良く力を合わせて笑える未来を作りましょう」というメッセージが込められていることも伝わってきました。「文明は発達したとしても心を育てることを忘れてはいないか。『一秒先を笑えるように』という先人の知恵を無駄にしたくない」とも書かれていました。別世界に悠然と佇み、手が届かないと感じていた能楽の世界ですが、源次郎さんのお言葉から少しずつ魅力が伝わってきて、時おりYouTubeでも楽しむようになりました。
「はて、能楽は難しい」?のこたえ。いえいえ、難しさの中に深い魅力と美しさが隠れているようでございます。機会があれば、恐れずに幽玄の美に触れてみたいと思っています。

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